永田 明久
東京理科大学工学部建築学科夜間主社会人コース4年
経 歴
- 自治医科大学大学院医学研究科 卒業
- 慶応義塾大学大学院法務研究科 卒業
- 現職:医療機関所属
学びの楽しさと達成感
私は医療機関や産業医として疾病管理や労働者の健康管理や快適な職場環境の実現を目指す仕事をしています。環境において、快適であることは健康、心理状態、生産性、創造性等の総合として生活の質に深くかかわっており、特に居心地の良い空間やリラックスできる環境はストレスの軽減やメンタルヘルスの向上に寄与します。そのためにも構造物と自然との関り、照明や騒音、デザインと空間配置、変化のある空間の作出や個人の空間が必要であることの必要性は理解できますが、議論するための知識が全くないことを残念に思っていました。また、もともと実家が建築に関する仕事を生業としていたこともあり、門外漢ではありますが見識を広げたいと考えたのが入学のきっかけです。
学生生活は、社会人コースでは実践的な視点がより強化されているように思います。社会での経験を踏まえた多様な学生が集い、個性が確立しているがゆえに、皆がお互いの立場を尊重して課題に取り組み、大学側も個別事情に可能な限り配慮をしているように感じます。特に課題は時間的身体的なハードルが高いことは否定できません。本校の「実力主義」の伝統を引き継ぐ教育理念として妥協はなく、手を抜けばしっかりと指導される一方、意欲があればしっかりと指導をうけることができ、自主・自律のもと個人的な興味や情熱を追求することや一線で活躍する先生方の指導により専門的知識を習得する場として贅沢な時間を満喫することが出来ているように思っています。
建築を学び、建物の社会的つながりを考えることが多くなったと感じています。具体的には、一見雑多にみえる建物や街の景観をデザインや構造、素材の選択において、それぞれに理由があることに気づき、十分ではないですが、建築家の意図の一端を知り、街や都市の成り立ちや計画についても関心が向くようになったことが変化だと思います。また、ウィトルウィウスによって提唱された建築の三大要素としての「強・用・美」からも、デザイン、機能、安全性、耐久性、使いやすさなど、多方面からのアプローチが課題でも求められ、同級生や先生方からの指摘も踏まえ、新たな価値観を再構築する機会となっています。特に、デザインと機能を同時に思考することの難しさには考えが及ばないことが多く、建築家の仕事の奥深さを実感しました。また、過去の建築物や建築家からは当時の歴史背景とともに建築物に込められた技術や思想に対する理解が深まり、建築が社会と密接に関わっていることを実感できるようになったと思います。卒業後は、空間や建物がどのように心理的影響を及ぼすかの知見をさらに深めたいと考えています。